Lumion 12.3で、光、ディテール、テクスチャにインスピレーションを

アダム・イングラムによる「The Regency Project」をご覧いただき、ライティングの美しさを活かしてデザインを生き生きとしたものにするためのヒントを得てください。

 

 

デザインをわかりやすく、魅力的にビジュアル化するためには、ライティングが重要な役割を果たします。クライアントなど見る人に建築が完成する前に体験してもらうことができるのです。
そして、あなたのデザインを理解し、なぜ重要なのかを理解してもらうことができます。

The Lumion Collective(@TheLumionCollective)の創設者で、才能あるビジュアライゼーションアーティスト、アダム・イングラム(Ark Visuals)とのコラボレーション「The Regency Project」は、Lumion 12.3 の新機能を使ってレンダリングを作成し、デザインについてのストーリーを伝えるというアダム独自のアプローチをご覧いただけます。

また、周囲の環境(天候、ライティングやそのほかの要素)がどのように建物や空間に独自の雰囲気を与えるのか、デザインの世界に没入できるかを見ていきましょう。アダムがプロジェクトを案内し、独自のクリエイティブプロセスを簡単に取り入れることができる、いくつかのヒントやコツを説明します。

すべてのプロジェクトは、あなたのプロジェクトをより詳細に、質感豊かにビジュアル化するために少しずつ学ぶ機会となります。
「The Regency Project」では、より良いデザインのストーリーを伝えるための光の使い方を学び、その美しさと感情を明確にします。アダムが言う「光で絵を描く」方法を学ぶことができます。

このプロジェクトの詳細については、上の動画をご覧ください。

 


 

生き生きとした環境にデザインを根付かせる

アダムによれば、「建築ビジュアライザーの仕事は、基本的に感情を持たない対象を擬人化することです。」
デジタルで無生物なビジュアライゼーションに感情を与えることを実現するために、アダムは3段階のアプローチを採用し、デザインのストーリーが常にプロジェクトを前進させていることを確認しています。

まず、建物から始めます。

 

 

The Regency Projectには、数々のユニークなデザインスタイルやムードボード、複数の現実の建物からインスピレーションを得てアダムがモデリングした建物があります。この段階では、デザインを理解することが重要です。そこでアダムは、Lumionにインポートすると、まずモデルのあらゆる見え方を探り、さまざまなアングルで表示し、建物が最も美しく見えるような印象的な構図を見つけます。

Lumionでモデルを探ることで、早い段階でいくつかの面白いアングルや構図を見つけることができ、それを使ってストーリーを伝え、建物の持つ感情を忠実に捉えることができます。

 

 

次に彼が行うのは、少しコンセプチュアルな作業です。建物の居住者がどのように生活し、この空間を体験するかを想像することで、彼は建物にちょっとした個性を加えます。

Lumionマテリアルで建物をテクスチャリングし、Lumionのコンテンツライブラリからエクステリアオブジェクトやその他の家具を追加することで、最終的なレンダリングとアニメーションで明確化する個性を開発し始めることができました。

 

 

最後のステップは、デザインの周辺環境を構築することです。これは、建築家とクライアント、ビジュアルの作り手と見る人を繋ぐ最後のポイントです。アダムによると、この環境の構築こそが、デザインの背景を理解しやすくするための根拠となります。
木々のざわめき、街の喧騒、あるいは人里離れた荒涼とした環境など、これらの要素は建物を擬人化し、見え方を高め、デザインのストーリーを完成させます。

建物、パーソナリティ、環境。
The Regency Projectを次のステップに進めるために必要なのは、この3つの重要なパーツでした。

次は、光で命を吹き込んでいきます。

 


 

デザインのディテール、美しさ、テクスチャーに光を当てる

The Regency Projectは、建築のビジュアライゼーションにおけるライティングの印象を強調するためのデモンストレーションです。繰り返しになりますが、ストーリーテリングは創造的なプロセスの中心となります。

そして、このプロジェクト全体のストーリーを伝えるために、アダムは照明を中心にシーン全体を構築し、ライティングがいかに建物の個性を際立たせるかに焦点を当てました。

 

 

彼はこれを「painting with light(光で描く)」と呼んでいますが、Lumionでレンダリングする場合、シーン全体の照明の配置を考える上で有効な言葉です。

はじめに、何も照明が加えられていないシーンを見ると、少し怖く感じるかもしれません。「どこから手をつければいいのだろう?」と思うかもしれません。
幸いにも、アダムはこれに対応する方法を持っていて、それを「Zones(ゾーン)」と呼んでいます。

 

 

ライティングのゾーンの作成については、こちらのブログでまとめています。簡単に言うと、プロジェクトのライティングを小さなエリアごとにアプローチできるようにするものです。このゾーンを設定するために、アダムは2つの角度から検討します。

ー実用性:建物とその環境をリアルに照らすために、どのようなライトが必要か。
ー美学:照明の力を利用して、空間に個性を与えるにはどうしたらいいか。

例えば、The Regency Projectでは、メインとなる玄関や窓が主要なゾーンのひとつでした。このエリアでは、光量の少ない環境でも視聴者が見やすいように、室内灯や天井灯などの実用的な照明が多く必要でした。

この設定には、スポットライト、オムニライト、エリアライトなど、Lumionの多様な照明を組み合わせることが必要でした。

 

 

次のゾーンは、「ガイドライト」を使って作りました。これは、見る人の視線を特定のデザイン要素に誘導するものです。例えば、ボラードライトを使ったショットは、歩道に沿って視聴者の目線を動かす役割を果たします。

 

また、庭にも「ガイドライト」が設置されています。アダムは、このシーンを上記と同じ組み合わせのライティングオブジェクトで照らすだけでなく、ライティングの重要な側面である影でも見る人を導くために、いくつかのスポットライトとオムニライトを追加しました。

「シーンを照らしすぎるのは簡単です。建築のシーンを照らすとき、影が悪いものではないことを忘れがちです。ビジュアルの作り手は、できるだけ多くの空間を見せたいと思うものです。そのために、多くの光を当ててしまうことがあります。しかし、光と影のバランスをとることで、建材が実際に光とどのように関わっているかを示すことができるのです。」とアダムは説明してくれました。

 

 

最後に、アダムが最も楽しく取り組んだのが「hero lights(ヒーローライト)」のゾーンだったそうです。この照明は一般的にインパクトがあり、建物の美観とそれが伝える感情をさらに高めてくれます。

「最終ショットで見るような光景に建物を変えてくれ、デザイン要素を際立たせる劇的な効果を生み出すのです」とアダムは説明しています。このヒーローライトの効果は、デザインの垂直フィンから漏れる贅沢なライティングを見れば一目瞭然です。

 

 

アダムは、Lumionの様々なライトオブジェクトを使用して、実用的なライト、ガイドライト、ヒーローライトでシーンを埋める際に、ロジックとスタイルを組み合わせたライティングアプローチを取ることを推奨しています。

 


 

アニメーションで魅力的なストーリーを伝える

舞台は整いました。ストーリーの主人公である建物が美しくライトアップされています。The Regency Projectの制作でアダムが最後に行ったのは、Lumionのエフェクトを加え、アニメーションをレンダリングすることでした。

この「ブルーアワー」感を実現するには、Lumionでほんの数分しかかかりませんでした。「大きな課題は、シーンが暗くなりすぎないようにすることでした。」とアダムは言います。
「私が使っている1つの手法はかなり簡単で、目を細めてみるテストです。目を細めても建物の主な形が見えない場合は、シーンが暗すぎるということです。」

 

 

リアルスカイやスタイルなどの機能とともに、のエフェクトは、この最終段階において非常に重要な役割を果たしました。特に個々のライトをテストし、修正する際に、色補正エフェクトはそれぞれのライトの強さを調整し、建材への影響を強調するのに役立ちました。

「色補正エフェクトを知るには、スライダーを動かすのが一番です」とアダムは説明します。「エフェクトのガンマ補正と上限と下限のスライダを試してみるだけで、シーンでの光の作用に影響を与えることができます。」

 

 

アニメーションを制作する際、アダムはそれぞれの構成で建物の個性的な側面を表現するよう心がけました。また、このプロジェクトでは照明が重要な役割を担っているため、各ショットで建物とその環境に影響力のある光の存在を明らかにすることを心がけました。

「こうすることで、The Regencyに関するストーリーを、連続した照明を通して伝えることができ、劇的なエンディングの前に、建物を一つずつ明確にしていくことができるのです。」

 


 

レンダリングできるもの全てからインスピレーションを得る

アダムのレンダリングに対するアプローチは常に進化していますが、すべての作品に共通する基本的な要素は、リアリズムよりも信憑性です。

「私たちが人間として共感する感情を、建築という本来は非人間的な対象に適用して具現化することが、私たちの仕事です。映像を見て、自分の記憶とリンクするような小さなディテールを認識することです。このような経験によって、私たちは表面的なレベルだけでなく、空間と関わり、共感することができるのです。」

 

 

The Regency Projectは、光、マテリアル、ディテール、環境、アニメーションなど、数え上げればきりがないほど、まさに傑作です。

ぜひプロジェクトの動画をお楽しみください。Lumionのライティング機能とエフェクトが、あなたのデザインにどのように生命を吹き込むかご覧になりたい場合は、こちらから14日間の無料トライアルをダウンロードしてください。

最後になりますがアダム・イングラムに感謝します。
Lumion Collectiveのウェブサイトでは、彼の作品やレンダリングスキルの向上を図ることができます。

 

  

※当記事はメーカー(Act-3D社)の公式ブログ記事の日本語翻訳版です。
日本のユーザー様向けに、一部内容を変更・修正している場合があります。元の記事をご覧になりたい方はこちらをクリックしてください。

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