2024年以降のLumionのロードマップ

変革の年

2023年はLumionにとってエキサイティングな変革の年となりました。今は大きな成長と根本的な変化の時期であり、私たちのソフトウェアを支えるテクノロジーを再構築し、チーム内の知識と才能の幅を広げました。

そこで、CEOのThomas Soenderbyと共同創業者でリサーチ部門の責任者であるRemko Jacobsから、この1年を振り返っての感想と、2024年以降に向けた共通のビジョンについて話を聞きました。

まず初めに、Lumionの2023年をどのように総括しますか?

Thomas：
なんという一年だったでしょう！Lumionでも、業界全体でも、多くの興奮がありました。ビジュアライゼーションの進化はますます加速し、建築の分野では不可欠なものとなっています。数年前までは、3Dビジュアライゼーションは時折必要とされるものでしたが、今はそうではありません。
今では、常に期待されています。そして、プロジェクトのあらゆる段階でレンダリングがより重要な役割を果たしているのを見るのは、信じられないほど喜ばしいことです。
デザイナーは、ほとんどすべての段階にビジュアライゼーションを取り入れる新しい方法を見つけ、チームや顧客とのコミュニケーションやコラボレーションを強化するために活用しています。
これは、ビジュアライゼーションがもたらす価値に対する私たち自身の感覚と完全に一致するものであり、これが定着していることは喜ばしいことです。

一方、テクノロジーは可能性の限界を急速に広げています。
私たちの目標は、建築家がビジョンを視覚化できるようにすることですが、まだまだできることはたくさんあります。私たちは2022年に組織への大規模な投資を開始し、次の10年に向けてこの野望を実現するための土台を築き、Lumionを1から作り直すという重要な一歩を踏み出しました。これは大きな改革でしたが、やらなければならないことでした。
Lumion 2023は私たちにとって非常に重要なリリースとなりましたが、これは氷山の一角にすぎません。また、今年はサブスクリプションモデルに移行しましたが、これは継続的で迅速なイノベーションを提供するという私たちの取り組みをさらに強化するものです。

私たちは新しい仕事のやり方に適応するために大きなプレッシャーを自分たちに課しましたが、チーム全体がそれを受け入れてくれたことに感銘を受けました。今年、私たちが市場に送り出すことができたものを本当に誇りに思います。

Remko：
Lumiom 2023は、私たちにとって大規模なプロジェクトで、これまでの年次アップデートとは異なるものでした。
レイトレーシングを採用し、Lumionのライティングシステムを統一し、レンダーパイプライン全体を根本から最新化したいと考えていました。
そのためには、技術的なレベルで、まったく新しいやり方が必要でした。挑戦的で、私たちにとっては長いプロジェクトでしたが、やり遂げることができました。

Thomas：
私たちはLumionを内側から変える手術を行いました。しかし、その心臓はより強く、より強力になり、私たちが意図する方法で将来の機能強化を構築するための舞台が整いました。水面下での作業はすべて重要で、不可欠なものでした。

Remko：
私たちは、製品にとっても会社にとっても、進むべき方向、進みたい方向がわかっていました。そして、私たちは時間と労力をかけて物事を整える必要があり、それができたことは素晴らしいことでし。私たちは、革新と改善を続けることができるように、私たちの技術に将来性を持たせる必要がありました。

デザイナーたちは、ビジュアライゼーションをほとんどすべてのフェーズに取り入れる新しい方法を模索しており、チームやク顧客とのコミュニケーションやコラボレーションを強化するためにビジュアライゼーションを活用している。

私たちの目標は、建築家がビジョンを視覚化できるようにすることです。

Thomas Soenderby
CEO, Lumion

その将来性はどのように具体化され、ユーザーはそれを認識できるのでしょうか？

Thomas：
今年私たちがリリースできたものを追うことで、それを実際に確認することができます。準備が整い次第、Lumionに定期的な改善を追加できるようになりました。
そして、それを素早くユーザーの手に届けることができます。これは大きなプラスです。

私たちは、2023年に4つの異なる大規模なアップデートをリリースしましたが、これは以前にはできなかったことです。また、多くの素晴らしいコンテンツや機能も追加しました。

Remko：
今年は800以上のモデルやアセットをライブラリに追加しました。高精細な植物、新しいキャラクター、様式化されたモデルなどです。
新しい拡散配置ツールは、カスタムカメラパスやHDRIスカイと同様に、素晴らしい追加機能です。またアニメーションがとても簡単になりました。完全なPBRマテリアルワークフローなど、Lumion 2023には本当に素晴らしい機能がいくつもあります。

もちろんレイトレーシングもです。これは私たちにとって大きな進歩でした。この点に関しては、私たちはまだ物事をさらに推し進めていますが、ユーザーには多くの可能性が広がり、本当に楽しんで頂けているようです。

Thomas：
開発のペースは我々にとって重要です。ユーザーはそれを求め、私たちにそれを期待するようになるでしょう。それを促進し、私たちはその需要に対応できるよう、時間をかけてより強力なインフラを導入する必要があり、私たちはそれを実行する準備ができています。私たちのチームは今、これらを構築するための優れた基盤を築いています。

Remko：
チームも大きくなったので、より多くのことを取り組むことができます。私たちの家族は今ではずっと増えました。

Thomas：
その通りです。今年は40％以上規模を拡大しました。そして、人という意味での成長が、これからより頻繁な提供を可能にするのです。この1年で会社がどれほど変化し、発展したかを過小評価するのは難しいです。そしてすべてが良い方向に向かっています。私たちにとって、この1年は実に素晴らしい道のりでした。

常に自分を追い込んでいます。製品チームとして、私たちは調査中の機能の広範なロードマップを構築しましたが、常に巧妙な機能や機能強化のための新しいアイデアを探し、考え出しています。決して止まることはありません。

Remko Jacobs
Head of Research, Lumion

あなたが言うように2023年に土台ができたとしたら、これからの1年でそれをどのように築いていこうと考えていますか？

Thomas：
2023年にチームのさまざまな分野を強化できたことには本当に満足しています。今年は人材育成と採用に多額の投資を行ってきました。今後に向けて、新たに強化された知識、スキル、リソースのライブラリをどのように活用し、設計の過程を通じて建築家をより効果的にサポートし、力を与えることができるかを見ること個人的にもワクワクしています。エキサイティングな時代です！

私たちは2023年、カスタマーサクセス部門に多大な注意を払い、より幅広いオンボーディング、トレーニング、その他のサービスを加入者に提供できるようにしました。このような投資は、私たちがお客様により良いサービスを提供するために役立ち、私たちにとってもユーザーにとっても素晴らしいニュースです。

製品の舞台裏でも良いことがたくさん起こっていますが、それはRemkoに話してもらいましょう。

Remko：
常に自分を追い込んでいます。製品チームとして、私たちは調査中の機能の広範なロードマップを構築しましたが、常に巧妙な機能や機能強化のための新しいアイデアを探し、考え出しています。決して止まることはありません。

現在開発中の分野で、共有したら面白いと思われるものはありますか？

Remko：
実はかなりあります。まずレイトレーシングについてお話ししましょう。

Lumion 2023に導入しましたが、これは出発点にすぎません。私たちが望んでいるすべての状況で機能すると言えるまでには、まだ道のりがありますが、この分野でのLumionの能力は常に向上しています。例えば、ガラスの表面や物体が光や互いに反応する方法（反射や屈折など）は、非常に複雑な課題でした。

あまり技術的なことは抜きにして、ガラスのボトルや花瓶を窓の桟に置いたとすると、光がそれらの表面によって曲げられたり反射したりする方法で、多くのことが起こります。レイトレーシングでそれをリアルに見せるのは難しいことです。

私たちは現在、ガラスや色ガラスがどのように表示されるか、色のついた影がどのように表示されるかなど、様々なテストを行っています。まだ開発の初期段階ですが、テストは非常に有望です。

Remko：
また、私たちにとって、Lumion 2023の最も大きな除外事項の1つは、レイトレースされた木々やネイチャーアイテムを使用できなかったことです。Lumionはネイチャーアイテムのライブラリを常に推奨してきただけに、この点は非常に残念でした。
しかし、樹木を正しく視覚化するために気をつけなければならない細かなことを考えれば、それがどれほど大変なことかわかるはずです。
私たちには、レイトレースされた樹木を専門に扱うチームがあります！これは我々にとって痛手でしたが、できるだけ早く改善したいと思っています。

その理由のひとつは、木にはさまざまな側面があるからです。例えば、木の枝や樹皮のマテリアルモは、葉とは異なる挙動をする必要があります。例えば、適切なレベルの半透明性が必要です。

Remko：
半透明のマテリアルも、私たちが徹底的にテストしている分野です。

葉っぱだけでなく、カーテンやブラインド、紙の壁などを考えてみてください。例えば、縦長のブラインドやカーテンの後ろにスポットライトを当てると、その素材自体が光源のようになり、部屋に差し込む光のレベルや色に影響を与えるのです。

半透明のマテリアルを使えば、本当に素晴らしい視覚効果を得ることができるので、私たちはこの方向にもっと深く取り組んでいます。

レイトレーシングは、もちろんレンダリングに多くの馬力を必要とします。この技術を実行するために必要な技術的要件にどのように対処していますか？

Remko：
それは常に続いている競争です。いわば技術競争の最前線に立ち続け、新しくエキサイティングな機能をLumionに取り入れたいのですが、それを効率的に実行するために必要なハードウェアの性能レベルとのバランスを取らなければなりません。

Thomas：
最終的には、Lumionをできるだけ多くの人の手に届け、参入コストを最小限に抑える方法を見つけたいと思っています。Lumionは常に、速くて使いやすいという評判を得てきました。私たちはそれを維持したいと考えています。

Remko：
私たちは、ソフトウェアのパフォーマンスとユーザー体験を向上させる方法を常に模索しています。
スピードは私たちにとってもユーザーとっても重要です。レンダリングのスピードや、Lumionを使って特定のことをしたり、特定のことを達成したりするスピードのことです。あまり多くは語れませんが、特に重いシーンやレイトレース環境でのレンダリング時間を改善しようと、現在も多くの作業が進行中です。また、この処理に必要なメモリの量を最小限に抑える方法も見つけようとしています。このようなことを正しく行うには時間がかかりますが、私たちは良い進歩を遂げています。

他に注目したい分野はありますか？

Remko：
私自身の個人的なウィッシュリストのひとつは、エディターそのものと編集モードの見た目を改善することです。

現状では、エディターで表示されるものと最終的な結果はかなり異なります。ソフトウェアですべてを準備し、レンダリングボタンをクリックすると、バックグラウンドでLumionが魔法をかけます。もちろん、最終的なレンダリング結果は素晴らしいものですが、私は、エディター自体で最終的なレンダリング結果にもっと近いものをユーザーに見てもらいたいと思っています。

だから、まずはノイズを減らしていきます。ユーザーにとって、ある種の「見たままが得られる」作業体験を作り上げます。私たちは、これを改善するためにいくつかの技術で実験を行っており、初期の結果は有望です。

私が望むような形にするにはまだ道半ばですが、初期のテストが示しているものには本当に感銘を受けています。

「私たちは常に、Lumionを直感的で、楽しく作業できるように心がけてきました。その哲学は、今でも私たちにとって重要です。クリエイティビティに障壁はあってはなりません。」

Remko Jacobs
Head of Research, Lumion

先ほど、ビジュアライゼーションの領域は急速に進化しているとおっしゃいました。

その進化がどのように続いているのか、また、Lumionでどのようにその進化を推進しようとしているのか、考えを聞かせていただけますか？

Thomas：
確かに、私たちの分野は信じられないほどダイナミックで、業界全体のイノベーションのスピードに参加するのは楽しいことです！
その一例として、私たちは、新たな生成AI技術を建築家のワークフローに統合する方法について、可能性の道を熱心に探っています。私たちは、これらのツールには建築家が恩恵を受けられる創造的な可能性がたくさんあると強く信じており、これらの側面のいくつかをLumionに取り入れる方法を見つけようと邁進しています。

Remko：
私たちのもうひとつの強みは、エンド・ツー・エンドで自社の技術スタックを所有しているという事実です。私たちは自分自身を頼りにしています。それが、ユーザーエクスペリエンスを形成する独自な力を私たちに与えていると思います。
私たちはデータを活用して、AIの力、そして私たちが便利だと思うその他のクリエイティブなツールをLumionに取り入れることができます。これらの機能をすべて建築家の手に委ね、彼らに遊んでもらい、試してもらいたいと考えています。彼らがこの機能を使って何ができるかを見てみましょう！きっと刺激的で感動的なものになると思います。
私たち自身の実験が、目を見張るようなものであったことは確かです。そして、Lumionではいつものように使いやすく、早く習得できるようにします。私たちは常に、Lumionを直感的で楽しく使えるものにしようとしてきました。その哲学は、今でも私たちにとって重要です。クリエイティビティに障壁はああってはなりません。

Thomas：
建築家がAIとどのようなコラボレーションを始めるのか楽しみです。AIには真の変革の可能性があると思いますし、私たちはその実験場の一部であると言えることを嬉しく思います。私は、建築家がデータと美学を統合する新しい方法を発見し、より革新的でユニークなデザインを実現し始めることを大いに期待しています。モデルやシミュレーションの作成スピードは驚異的で、建築家の能力を大幅に向上させ、より持続可能で効率的な建築を実現する可能性を秘めていると思います。

確かに、現時点では課題や制限もありますが、きっと克服されるでしょう。そして、これらのテクノロジーが建築デザインにもたらす恩恵は、潜在的な欠点をはるかに上回ると思います。これを解明するのは楽しいことです。

私たちは、建築の可能性の限界を押し広げるために新しい技術を使うという考え方を全面的に受け入れており、この分野への献身的な取り組みによって、私たちが正しい方向に向かっていることを保証します。私たちが行う開発には、常に建築家を最優先に考え、彼らのニーズを念頭に置いていることは間違いありません。

楽しみなことがたくさんありそうですね。舞台裏を少し見せてくれてありがとう。

2024年を迎えるにあたり、Lumionユーザーの皆さんにお伝えしたいことはありますか？

Remko：
そうですね、今後のことについては簡単に示唆しただけだということは、おそらく言及しておいた方が良いと思います。私たちは常に自分自身に挑戦しており、Lumion のアイデアは生まれ続けています。私たちが取り組んでいることは本当にエキサイティングだと思います。2024年は私たちにとって非常に興味深い年になるでしょう。

Thomas：
これからの1年、私たちにはエキサイティングなことがたくさんあります。私たちは、Lumionがすべての建築家のワークフローに欠かせない要素であると思われるようにしたいと考えています。設計プロセスのすべての段階にわたって、建築家とその設計チームに価値を提供し、サポートすることができます。
Lumionは、設計ツール、コミュニケーションツール、あるいはプレゼンテーションやプロモーションのツールとして、必要に応じて機能します。私たちは、このポジションを強化しながら前進することを目指しており、皆さんは私たちが将来実現する多くのことに感銘を受けてくれると信じています。
今年も楽しい1年になることをお約束します。