対象建築:ホテル+多目的商業施設
パタレイ監獄は「負の遺産」であるが故に、周辺は荒れている印象を受けた。そこにホテル+多目的商業施設と海岸線の整備を計画することで、監獄のイメージアップを狙った。
大きな中庭は隣の監獄を意識して作り、屋根には同じガラスの素材を使う。建物の東側はファサード、窓の形状を監獄とそろえることで一体感を出しているが、監獄から離れるにつれ現代的な外観に変わる。
大きな一つのヴォリュームに海洋博物館や駐車場、監獄とのつながりを考えた動線を通すことで建物内に豊かなシークエンスを生んだ。中庭では、マーケットやスポーツ、ライブなど多目的な文化的イベントが開かれることを期待している。
西側では一階部分をガラス張りにして、内外から視線が商業空間を通して、抜けるように計画した。
上階のホテルは二種類存在し、東側の一つ一つの部屋が狭く、監獄を意識して作ったものと、西側の部屋ごとが内外空間に貫入しているものとがある。
講評
今回のテーマは「パタレイ旧監獄と共存する建築物」で、勿論それを理解されて建築をデザインする際にも意識して作られていると思います。しかしながら、このムービーには旧監獄棟がはっきり見られるショットがひとつもなく、結果として上記のテーマが全く訴求出来ていないことになってしまっています。厳しく言えば、独立した映像作品としては0点と言うことになってしまいます。一応、冒頭の俯瞰映像で旧監獄棟が見えますが、見切れた一部でしかない上にカットが短すぎてその意味は伝わってきません。それ以降、新建築物の各部を見せるショットに関しては、急ぎすぎないカメラワークで見せていて、比較的基本に忠実な良いやり方と思います。場面の演出としても、それなりの数の人間を配置していて生活感も出せている気がします。ただ、広い芝生や遊歩道などが、それぞれ、何のための空間なのかという情報に乏しく、目的が伝わりづらい印象は持ってしまいました。