トップ画像

作品詳細

一覧へ戻る

作品

chrono-gyre 時を超える建築

対象建築:ホテル+多目的商業施設

パタレイは、内部に均質的に連続するアーチと重く閉鎖的なファサードが過去の支配を現代に語り継ぐ、“負の遺産”としての建築である。
が同時に、困難を乗り越えて今日まで国家を守り抜き、未来へと歩もうとするエストニアの強さの象徴でもあるのではないだろうか。
支配から解放されたアーチは、語り継ぐべき過去と輝かしい未来へと流れ出し、周辺エリアに新たな磁場を発生させ、やがて時空を超えて世界へと拡がる。
アーチが創り出す水平に展開する商業空間は、電子国家エストニアの先進性を反映するシームレスな散策性を獲得する。
磁界の中心にあるアトリウムは、アーチを潜り抜け深度化された空間としてパタレイと対峙し、自由のために奔走した先人への追悼空間であると同時に、
パタレイへの意識を増幅させ再認識させる空間でもある。
忘れられようとする過去の真実と向き合い、時を超え未来のエストニアと世界にメッセージを送る建築の実現を目指した。

  • ホテル+多目的商業施設
  • ホテル+多目的商業施設

パノラマ



機種:MDV-QZ7520XM2-WS
CPU:MDV-QZ7520XM2-WS
メモリ:32.0 GB
GPU:GeForce GTX 970
ソフト:Rhinoceros, SketchUp
モデル制作時間:3日
データサイズ:200Mb
LUMION制作時間:1日
使用エフェクト:太陽、シャドー、反射、スカイライト2、ハイパーライト、ボリューム日光、被写界深度、集団移動、移動、リアルスカイ、空と雲、霧、降水、ボリューム雲、色補正、アナログカラーラボ、ノイズ、神光線
動画レンダリング時間:24時間
静止画レンダリング時間:2分

講評

今回のお題を踏まえると旧監獄の建物と新しい建築物のコンセプト的な関係性を描くことがとても重要なのですが、それが出来ている作品は非常に少ない印象でした。そんな中で本作はそこにしっかりと注力したことが感じられるのが好印象です。オープニングでまず旧監獄の荒涼感、閉塞感をしっかり秒数を取って提示し(ここの天候が雪なのも適切な演出と思います)、0:15〜新しい建築物の清潔感、開放感のカットへという構成は定石に忠実な良い演出ですね。惜しいのは、冒頭の旧監獄とこの新しい建築物の位置的な関係性が伝わらないので、ムービーを初見ではここの意味が伝わらないことです。旧監獄が入るようなアングルで2つを繋げられると理想的だったかも知れません。0:19〜0:26の、監獄内部のショットから新建築物の賑わいへのトランジションは、まさに今回求められているタイプの演出だと思います。(そして案外、これをちゃんとやってきた人がほとんどいませんでした)欲を言えば、の部分としては、今回は経年による雰囲気たっぷりの建築物が既にある横に建つ建築物のプレゼンのため、普段以上に建築物の素材感やテクスチュアをしっかり作り込まないと質感重厚感が低く見えてしまうので、そこのクオリティがもう一声欲しかった気がします。また、音楽についてはもしかしたら、拡がる未来へ向けた建築物のプレゼンテーションとしては重すぎるかもという印象です