対象建築:ホテル+多目的商業施設
休日になるとタリンに人がいなくなる。
郊外に自然を求めるかららしい。
タリンに程近くタリン湾のほとりに鎮座する要塞は、エストニアにとって過去幾多の苦難を象徴する建物である。
その隣にふさわしいデザイン。
鎮魂か希望か。
よく分からなくなってきた。
まず、芝を張ってみた。
次に起伏をつけてみた。
真ん中で割ってみた。
なかなかよさそうだ。
見えてきたのは、丘。
丘の割れ目に店舗を配置する。
車寄せの前には穴が開く。
木が生えていてこれを象徴としよう。
中に入れば旧市街の町並み。
バーに入って一服していこう。
バーでチェックイン。
付近を散策してみる。
全景で見てみると、存在感があるような、ないような。
そんな建物が見つかった。
夜には一転し少しばかり主張してみる。
鎮魂か希望か。
結局答えは見つからないが、それでよいと思った。
講評
車や人の導線に沿ってカメラを動かして建築物を見せていくやり方は、そこでの生活がイメージしやすくて良いと思います。オープニングをバーの情景にしたのも、どういう空間を目指しているかが冒頭で伝わって良いのではと思いました。今回、古い建築物を活かした設計物ということで映像を作る際にも素材のテクスチュア感、経年による素材の変化などが出ていることが望ましいと思うのですが、そういう意味ではもう一声、作り込みが欲しかった気がします。また、大部分が夜のシーン、且つそこに居るであろう人々が配置されていないので、日中から夕方にかけてどのように過ごす空間になるのかのイメージがほぼ出来ませんでした。今回の作品の中では比較的、パタレイと建築物の位置関係が視覚的に伝わりやすいようになっていましたが、ではコンセプト、テーマ的にはどういう関係性を目指しているのかということも、ちょっとこの演出ですとあまり伝わって来ない印象です。