「Fiat lux」:「光が生まれますように」
対象建築:ホテル+多目的商業施設
負の歴史の象徴としてのパタレイと計画建物を呼応させることで、未来の世代に過去の記憶と新たな価値を共に渡すことをめざした。
パタレイの厚い壁の中央を切り取ることで、中庭から計画地・通りへと光が溢れる。シンボリックな外形を残したまま閉鎖的な空間が公共性の高い空間に生まれ変わる。切り取った外壁をスライドして計画建物に用いることで、来訪者はパタレイの元々の外観や内部空間を想起できる。その既存壁面の上部にガラスブロックを積んだ2層の構成とし、素材・採光面の差異を活かしたホテルとしている。その足元に周辺の住宅とスケールを合わせた小さな建物群からなる商業施設が広がり、賑わいを創出する。スリバチ状のランドスケープと海から引いた水の潮の満ち引きに応じて人々の活動が誘発される。計画建物が時代や世代を超えた「架け橋」となることを願っている。
パノラマ
機種:HPZ640
CPU:Xeon E-5-2620 v4
メモリ:64GB
GPU:Geforce GTX 1080 x2
ソフト:Blender
モデル制作時間:14日
データサイズ:500MB
LUMION制作時間:8日
使用エフェクト:Real sky, Lens Flareなど
動画レンダリング時間:15時間
静止画レンダリング時間:1分
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講評
まず冒頭の、展示された写真からパタレイ旧要塞監獄のビジュアルに導入する演出は、新しいものと旧いものの繋がりや共生の仕方をとても伝わりやすく且つスタイリッシュな形で提示できていて秀逸だと思います。また、旧建築物の朽ちた感じのディテールをしっかり表現されていることで、新しい建築に生まれ変わることのインパクトが十二分に伝わって来るのも非常に良いと思います。音楽と映像のタイミングをちゃんと合わせていることも好印象ですし演出効果が上がっていますね。そして0:14〜0:21の旧要塞監獄の中身がスライドして出てくる表現、このデザインのコンセプトを現すのにこれ以上伝わりやすい演出はないのではと感じました。0:35〜1:21の、建築物のディテールを見せるシークエンスでは、スタイリッシュに建築デザインを見せられている部分は多いものの、カメラが動きすぎ、また常に動き続けるため、観客が見たものを消化する時間が足りていない印象を受けました。特に、人間が移動するスピードや移動方法を超えた視点移動が続くので、この空間に実際に自分が居ることをイメージ出来る瞬間がほとんど無いのはマイナスだと思います。時折カメラをじっくり据えて見せるようなショットを織り込んでいくと、更に良くなるのではと思いました。