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作品詳細

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作品

Melting Boundaries

対象建築:ホテル+多目的商業施設

タリン。近代に入り幾多の支配者と思惑に巻き込まれてきた。
パタレイ。革命により約束された平和は訪れたのだろうか。
歴史を重んじながらも革新と進歩にむけた、我等のアイデンティティを模索する旅。

歴史から目をそむけるわけではなく過去と未来、抑圧と推進、これらの対立構造を建築に利用しエストニアの新しい未来のカタチを作る。
過去の中央集権的な<社会資本>構造のフレームを利用しつつも、それらは中心性を持たずに折り重なり、境界を解いていく。
要素<自律的な分散ネットワーク>の立体的な重なり合いが融和する心象風景をつくりだす空間構成を提案しつつ、
負の遺産<パタレイ>を干渉させることにより建築空間を通して新たな歴史認識の創造と発展を作り出す。

同時に、建築はパタレイと共に年を重ね、表情を変え、歴史を記述するモノとなり未来を考えるモノにもなる。
我等のアイデンティティはどこにあり、どこに向かうのか。

  • ホテル+多目的商業施設
  • ホテル+多目的商業施設

パノラマ



機種:HP Z240 Tower Workstation
CPU:Inter(R)Xeon(R)CPU E3-1280 v5@3.70GHz
メモリ:32GB
GPU:NVIDIA Quadro M4000 8GB
ソフト:Rhinoceros, Grasshopper,3dsmax
モデル制作時間:20日
データサイズ:2GB
LUMION制作時間:7日
使用エフェクト:太陽、影、神の光線等、その他多数
動画レンダリング時間:20時間
静止画レンダリング時間:20分

講評

まず、オープニングで昔まだパタレイが本物の監獄だった時の情景を描くというのは思い切った試みで、こういうチャレンジは私はとても好きです。ネガティブ→ポジティブの変化の表現の布石としても実際に効果的になり得る演出だったと思います。「なり得る」と書きましたのは、惜しいことに「→ポジティブ」の表現が上手く出来ていないために、このドラマチックな変化が観客に伝わり切れておらず、結果、解説文にあるようなテーマやコンセプトも伝わっていないという印象のためです。0:15〜のショットですが、最初に画面右奥に見えるのがパタレイでしょうか?ここはやはり、現代のパタレイの外観をしっかり見せてから(このショットで言えばもっとカメラを右に振っていれば見えるということかと思いますが)今回の新しい建築物へとパンをした上で、新しい建築物の外観もこのショット内でもっとしっかり見せるというような表現をして、旧→新への変遷、且つ両者が共存していることをビジュアルとして伝えるような演出が必要だったと思います。0:22以降の新建築物の各部を見せていくショットの連続については、まだ少しカメラを動かしすぎな印象はあるものの、各ショットの秒数も一応足りていると思いますし、基本は押さえられているかと感じます。ただやはり、パタレイのビジュアルがほとんど出てこないこともあり、今回の重要なポイントである「新しい建築物はパタレイとどのように共にあることを目指すのか」がこれらのショットで伝わってこない印象は否めません。また「→ポジティブ」への変遷を表現するという意味では、音楽のチョイスには少し疑問を持ってしまいました。冒頭マイナーから本題に入ったらもっとメジャーな和音中心の曲の方が演出意図には沿っているのではないでしょうか。