Paralleelne sein
対象建築:ホテル+多目的商業施設
長い歴史の中でパタレイの「壁」は人々を閉じ込めるものだった。今回提案する建築は、幾重にも重なる過去の1つ1つを乗り越えてきた群衆の力強さと経験を、壁の再構築として表現したものである。パタレイの歴史を受け止め、海へと抜ける「平行な壁」は人々に自由を与える。壁には植物が根付き、開口からは人々が往来し、腰を掛けてゆっくりと談笑する。ここでは壁に寄り添い様々なプログラムが展開される。エストニア料理を中心としたフードコート、朝市ではエストニアの民芸品が売られている。ホテルの一部はアーティスト・イン・レジデンスの機能を持たせ、遺産パタレイが博物館の機能を持つことに対し、刺激を受けながら創作活動をするアーティスト達の発信拠点とする。中央の大階段を登ると、パタレイと海が見渡せる展望台があり、この地で歴史は語り継がれていく。変動する時代の中で、「壁」はこれからの未来を人々と共に生きていく大きな風景となる。
パノラマ
機種:HP Z4G4
CPU:Intel(R)Xeon(R)W-2133プロセッサー3.6GHz
メモリ:32GB
GPU:NVIDIA Quadro P5000
ソフト:Rhinoceros・Sketchup
モデル制作時間:15日
データサイズ:700MB
LUMION制作時間:15日
使用エフェクト:昼間セット リアルスカイ レンズフレア 霧 断面 色補正 アナログカラ―ラボ ボリューム日光 高度な移動 集団移動 レイヤの可視性 反射 太陽 移動 二点透視 被写界深度 サウンド
動画レンダリング時間:8時間
静止画レンダリング時間:30秒
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講評
今回のコンペの課題をしっかりと消化した建築デザインと、そして課題をしっかりと意識して作られたことを感じるムービーです。冒頭を含め、随所でパタレイ旧監獄要塞の佇まいが構図の中に入ってくるので、新しい建築物がどんな佇まいでパタレイと共存していくのかをイメージすることが出来ます。ひとつひとつのカットに充分な秒数を割いて、トランジションに頼らないカット編集で繋いでいっていることも、見やすく好感が持てます。また、音楽をしっかりとムービーの尺に合わせて編集されているのも良いと思います。カメラの移動スピードも抑えめにしようとされたことは感じますが、もしかしたらもう2カット位削ってもっとゆっくりしたカメラ移動にした方が良いかも知れないと感じるカットもあります。このように、建築デザインの見せ方という意味では基本技術を押さえた良いムービーと言えると思うのですが、一方で、テーマが伝わってこない作品という印象です。解説文によると「幾重にも重なる過去の1つ1つを乗り越えてきた群衆の力強さと経験を、壁の再構築として表現」ということですが、意図としてはムービー作品のどういったところでそれを表現しようとしているのでしょうか?深く、そして複雑な背景を踏まえたテーマですので勿論難しい表現とは思います。例えばですが少なくとも、ビジュアルとしてテーマを少しでも伝えられる可能性のある1:18〜のラストカットにもっと時間を割き、このカットで「壁」とパタレイの関係性をもっと伝えようという意志が感じられたら良かったのかも知れません。