Along with Patarei
対象建築:ホテル+多目的商業施設
負の遺産・パタレイは、度重なる占領、侵略といった歴史、過去からのメッセージをその佇まいをもって今に伝える重要な建造物である。これは、この場所を訪れた人々や、住民が、この建物や敷地が持つ空気感、歴史を肌で感じることができる屋外劇場を有する複合施設の提案である。開放的な敷地を活かし、どこからでもアクセス可能な円形の平面を採用した。 1階に市民ホール・ギャラリーを設け、これらの空間を近隣の学校や個人に開放し、日常的に利用することができる施設とした。劇場の透明なスクリーンは、無数のワイヤーで構築している。かつて、政治や戦争、考え方の違いなど、「目には見えないなにか」の為に占領、侵略が繰り返されてきた。これは、その「目には見えないなにか」をカタチにしたものであり、過ちを繰り返すことなく、負の歴史を未来へと共有するための象徴となる。パタレイの横に寄り添い、パタレイとともに歴史を伝える建築を目指した。
パノラマ
機種:hp ELITE DESK
CPU:Intel(R)Core(TM)i7-7700 CPU@3.60GHz
メモリ:8.1GB
GPU:NVIDIA GeForce GTX1080
ソフト:Archicad
モデル制作時間:75日
データサイズ:100MB
LUMION制作時間:30日
使用エフェクト:太陽、シャドー、反射、スカイライト2、太陽の詳細設定、ボリューム日光、二点透視、被写界深度、レンズフレア、集団移動、移動、レイヤの可視性、空と雲、霧、降水、ボリューム雲、風、水平線の雲、アウトライン、色補正、アナログカラーラボ、彩度を選択、ブリーチ、イメージオーバーレイ、神光線
動画レンダリング時間:250時間
静止画レンダリング時間:12時間
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講評
雲や雨、光の使い方がとても上手い作品と感じます。0:52〜の壁の影のカット、1:02〜の路面を濡らす雨のカットなどの情景描写は、その場に自分が佇んでいるような感覚を与えていて素敵だと思いますし、その後の2カットほどの路面が濡れているのも質感、空気感が伝わって良い演出だと感じました。ただ、せっかく情感のあるショットを作っていらっしゃるのに、カット数が多く、それぞれのカットの尺が短いので全体に少し忙しく、カットの余韻を楽しめないのがとても勿体ない印象です。情報を伝えるという意味ではそれぞれのカットをギリギリ足りる秒数見せていると思うのですが、これだとせっかくの情感を味わい切れないかも知れません。そして、そういった今回の建築物を魅力的に見せる演出には長けていても、今回の核となるテーマはパタレイ旧監獄要塞との共生であるのにパタレイのビジュアルが冒頭写真を除き一切出てこないのは、映像作品でのテーマの訴求という意味で重大な欠陥だと言わざるを得ません。恐らくプレゼンで補足されればその点が理解出来るのかと思いますが、少なくともムービー作品単体では、この建築物がパタレイと物理的およびテーマ的にどういう関係性を持っていくのかが全く伝わらず、テーマの訴求という意味では厳しい評価をせざるを得ない作品でした。