遠藤有華
大成建設株式会社
対象建築:コンドミニアム
今回のテーマをみてモンゴルの広がる大地に建つ家の中に『家具』という名の建築を作っていきたいと思い、私は全てのインテリアを提案しました。
インテリアのコンセプトは、モンゴルの伝統的な衣装のゲルなどにデザインされている独特な模様などに用いて現代の住宅にも似合うシンプルかつ伝統的な家具であり一からデザインしました。
また、核家族化が進む中で人を自分の家に呼び囲んでコミュニケーションがとれる空間を家具で提案したいと思いダイニングテーブルに特に力を入れて制作しました。
このダイニングテーブルは、ただの長机と長椅子でありますが長机の高さを少し変えることにより様々な組み合わせが生まれたくさんの人が囲めるようなデザインにしました。
椅子と机のサイドの模様は、民族衣装などに施されている模様をベースに考えました。
全体的には、ウォールナット材を使用し使い込むことにより味のある家具に仕上がっていくことをイメージしました。
講評
私はこの作品、他の作品があまりやっていない点でのチャレンジをされていて、ある意味、とても好きでした。映画の演出には美術・装飾が非常に重要で、そういう意味で、その空間に住む人がどういう家具を使っているかというのは、その空間で人が送る生活の肌触りを伝えるためにはとても有効だと思います。家具を全て一からデザインされて配置したというのは、今までの作品になかったかも知れません。一方で、本コンペは建築物をプレゼンするムービーのコンペであるということを踏まえると、建築物の外観が一切出てこないというのは大きなマイナスということになってしまうかとは思います…。また、全体的なカメラワーク、編集も、もっともっとレベルアップの余地があるかという気がします。せっかく、人の暮らしが家具を通じて感じられる空間を作り上げたのですから、そこをじっくり見せる姿勢が、最も有効な演出の方向性だと思います。今の形ですとカメラがあちこちを向いたり、かなり早めのスピードで移動していて、空間をじっくり見ることが出来ません。フィックスか、もしくはかなりゆっくりな一方向へのカメラの移動が適当だと思います。0:19?0:25が比較的、それが出来ている箇所ですが、ここですらもっとゆっくりのカメラ移動でいいと思います。0:46?1:11のセクションは、そういう意味でしっかりじっくりと空間を見せられていて、とても良いと思います。特に、クマのぬいぐるみ?カメラが引いて?遊ぶ子どもたち、というショットは、生活が感じられてとても効果的ですね。また、せっかく人の息吹が感じられるような空間を見せるのに、0:40?の箇所のように、カメラが家具や人の足などを通り抜けて移動するという、現実の世界で物理的に不可能なことをしてしまうと、一気にその空間に入り込めなくなって勿体無いと感じます。最後に音楽のチョイスですが、この空間の表現にカントリー音楽を選ばれたのにはどういう意図があるのでしょうか?印象としては、もっと落ち着いた、アジア系のエスニック音楽なり、ピアノやチェロのように割とプレーンな音色の曲が効果的なような気は致しましたが…。もしくは、いっそ、音楽よりも人々の雑談や足音、食器の音などの生活音を敷いてもよかったかも知れません。