佐野翼
株式会社日建設計
対象建築:マンション
ウランバートルは美しく広大な自然に囲まれている。
しかし、冬の厳しい寒さのせいか、まちと自然との距離感は近いようでなかなか遠い。
建築が自然に歩み寄ることで、内向きなまちを変えると共に、今の生活をより豊かにすることはできないだろうか。
目の前に広がる大自然に目を向けた複合施設の計画である。
建物を包み込む様に南北に抜ける門型のフレームは、ウランバートルの新たなランドマークとなると共に、美しい景色を切り取る役割を担っている。
また、建物内部に風を取り込み、西日を遮断するといった、住環境に配慮したデザインとなっている。
深く張り出した軒下空間は中間領域となり、夏季には建具を開け放つことで、眼下に広がる国立公園と一体となる空間体験を提供する。
冬季の寒さに配慮しつつ開放的かつ快適な住空間を実現するために、開口部には超高性能断熱サッシを導入する。
これからのウランバートルにおける、新しいライフスタイルを提案する。
講評
解説文を読ませて頂くと、この建築物の一番のポイントは「門型のフレーム、深く張り出した軒下空間」なのかと思いますが、本ムービーには一度も、建築物の全体像が見られる引き画が出てきません。解説ページの画像を見て初めて、全体像を把握することが出来ました。セールスポイントがムービーで訴求できていないというのは、プレゼンテーションムービーとして根本的な欠点と言わざるを得ません。ただ、映像の質感の作り方、(スタイリッシュさだけ考えた場合の)構図の切り取り方にはセンスを感じますし、技術も高いと思いました。これだけのスケールのものを、かなりの細部まで作り込まれたことについては素晴らしいと思います。惜しむらくは、これだけ質感と構図にこだわっていらっしゃるので、せっかくならパンフォーカスではなく、もっと長いレンズ、開いたアパチュアで浅いフォーカスにして背景か前景をぼかした方が更にスタイリッシュかも知れません。音楽のチョイスも、控えめで映像を邪魔しないという意味で割りと良いと思いました。強いて言えば、せっかく冒頭をオープニングらしく始めていらっしゃるので、エンディングも、音楽が切りの良いところで終わるように途中を編集したりして尺の調整をされたら良かったかとは感じました。また、カメラの移動の開始時と終了時をそのまま使ってしまうと、動き出しと止まりの部分でテンポが崩れて、流れるように観ることが出来ませんので、編集ソフトでその部分は削除して、カメラ移動が一定のスピードに乗っている部分だけを繋いでいくことをおすすめしたいです。最後にひとつ質問させて頂きたいのですが、タイトルが「和」なのにはどういう意味があるのでしょうか?