小林光義、Ganbold Batkhuyag、Altansukh Baatarjav、Uuganbayar Gerel
株式会社ARCHISM、Teppen Construction.LLC
対象建築:コンドミニアム
放牧の民と言われてきたモンゴルは1990年の民主化以降、都市部での定職定住が進み経済圏とともに生活環境が大きく変化しました。
都市部での人口増は住宅供給事情からゲル地区を生みそこから生じる煤煙が公害をもたらし今だ根本的解決に至っていません。
『ウランバートルに住まうそれはモンゴルに住まうということ同義でなければならない』その考え住まい方が根本的な対策に繋がると考え、公害状態ありきで汚染に対峙する建築ではなくモンゴルのスタイルへ回帰ができる住居としての建築を創造します。
ゲルの大きな特徴に、内側がパブリック外側にプライベートが存在するという日本人の感覚では理解しがたい真逆の関係性が存在します。
その関係性をパブリックなリビングから大きなアウトリビングを介してプライベート空間へ繋げることで表現しています。
オーナーそしてコンドミニアム利用者すべてがミニマルなモンゴルを感じられる空間の重層がポイントです。
講評
私が建築に関して門外漢だからかも知れませんが「パブリックなリビングから大きなアウトリビングを介してプライベート空間へ繋げる」「公害状態ありきで汚染に対峙する建築ではなくモンゴルのスタイルへ回帰ができる住居」というコンセプトは、ムービーからは全く読み取ることが出来ませんでした…。結構、コンセプト自体が伝達の難しいものではないかという気がするので、本来であればもっとテロップ、図解、ナレーションなどを使って解説する部分が必要なのかも知れません。特に、解説文にある「内側がパブリック外側にプライベートが存在するというゲルの特徴」ということ自体がまずちょっと理解出来ていないので、恐らくは、ゲルの画像もしくは図でそれを説明することから始める必要がある気がします。ムービーの構成の仕方も、0:25?0:45から20秒間、ずっとベランダの周りをグルグル回るカメラに代表されるように、演出意図が絞り込めていないように感じます。観終わって「ベランダの広いマンション」という印象だけが残る感じです。カメラの動きも速すぎて、観る方として視点を定める時間がないように思います。まずオススメしたいのは、一度、この建築物のどこをどう見せたいのかを静止画で並べてみるということです。そうすると、単にカメラをそこらじゅう動かすのでなく、どうカットを割っていくことが効果的なのかが整理出来ると思います。音楽のチョイスは、攻めていて私は結構好きです。ただ、始まりと終わりはフェイドイン・アウトされた方が、世界に入りやすく、また完結した作品を見た印象が残るようになると思います。映像についても、最後は全体像の見えるワイドショットで終わるなど何か「シメ」のカットがあると印象がだいぶ違うはずです。