Blooming?house
塩月卓也、安藤寿孝 株式会社竹中工務店
対象建築:戸建て
花のように開いたり閉じたりすることで、寒暖や日射に形態が応答する建築を考えました。
夏季と冬季の気温差が約80度の厳しい環境においては、開口の少ない厚い外壁で囲み外部と内部の環境を切り離すことが定石だと思います。
ただ、その方法では中間期の快適な気候を楽しむことや眺望を得ることが難しくなります。
その解決として花のメカニズムに着想を得ました。
朝顔は花弁が開閉することで、それぞれの花弁は薄く儚くとも気温の変化に対応しています。
透過性を持つ壁面は、厚い空気層を内包することで断熱性に優れ、冬季にはそれらを閉じて表面積を最小化し複層の外壁を構成します。
逆に夏季にはそれらを開くことで、自然通風や眺望が得られます。
中心に近い部分がプライベートな空間、外側にいくほどパブリックな空間として機能と形態を対応させています。
各住戸が開いていくことで緩やかにパブリックな空間が連続し住居間のコミュニティが生まれます。
機種:HPZ640
CPU:Xeon?E5-2620v4?2.10GHz
メモリ:64GB
GPU:Geforce1080?x2
ソフト:Blender
制作時間:21日
データサイズ:100MB
制作時間:21日
使用エフェクト:Analog?Color?Lab,?Fog,?Color?Correction,?Exposure,?etc
動画レンダリング時間:計8時間
静止画レンダリング時間:計26秒
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講評
コンセプトがムービーの表現と構成にしっかり落とし込まれているという意味で、お手本的な作品だと思います。そういう意味でとてもいいと思います。一方で、開く花弁という詩的で色気のあるコンセプトをお選びになったのに、ムービーにはポエティックな雰囲気がなく、快活なインダストリービデオという感じになっているのが勿体無いと感じました。その原因のひとつは選曲かと思います。0:17まで、深雪の世界を感じさせる環境音だけで引っ張っているのはとても効果的だと思います。雪に囲まれた生活の閉塞感や孤独感を醸して、その後の「開花」の開放感を高めていますね。ここまではある程度の詩的さを持っている感じです。0:18から、そんな深い雪の中でも暖かみのある生活、という表現なのかと思いますが、まだ「開花」前だということも含め、もっとアンダートーンな、しっとりした曲の方が効果的かという気がします。0:53辺りから曲調が変わって開花へ、という構成・流れはとても効果的で良いと思うのですが、やはり「花開く」という詩的なコンセプトを表現するという意味では、もっとアコースティックな音色だったり、余韻のある曲調の方がふさわしいかも知れません。1:05の、花をかたどったガラス工芸がテーブルに置いてあるようなギミック、私はとても好きですし、ここは少し詩的な雰囲気が醸し出されていますね。1:13で、開く家の外と中の人々が対面するシーンで手持ちカメラの効果を使われているのも、臨場感が加わることで人々に血肉が通い、効果的だと思います。更にポエティックな表現をするとしたらですが、個人的には結構、映像的な直喩も好きなので、雪の中で固く閉じた蕾や、開いていく花などのストック映像をインサートしたりするもの、少しベタであっても非常に映像技術として効果的ではあると思います。