藤原昂樹、中村裕之、松永剛、河野あゆみ
株式会社錢高組
対象建築:コンドミニアム
「MU」 ~モンゴルらしさを未来に繋げるコンドミニアム~
アジア有数の経済成長率を誇るモンゴルの首都ウランバートルにおいて、ビジネス、生活、観光などの用途を包括する豊かな長期滞在、居住空間を実現するコンドミニアムです。
各住戸は、日本的で合理性のある設備を配置し、リビングは入居者や来客者とのコミュニケーションを促す場にするため、モンゴルの移動式住宅、ゲルの円形プランを取り入れました。
開口部は空間にゆとりのある道路面に雁行した、河川や周囲の山々を眺めることができる計画です。
2階と屋上の開放的なパブリックスペースでは、簡単な打ち合わせや会食、小規模の講演などを行うことができ、ビジネスや観光で滞在する人々の交流を促します。
モンゴルのさらなる発展に貢献するアイディアや交流が、この場で生まれることを期待します。
講評
全体としては、基本に忠実かつ幾つかの演出的な工夫に挑戦もされている、模範的な作品と思いました。オープニングなども、この建築デザインが印象的に見えるアングルを考えられている、インパクトのある始め方だと思いますし、そこが音楽を使わず環境音のみというのも効果的ですね。その後0:30までの、強調したいパーツのショット?全体像をたっぷり見せる、という流れも非常に基本に忠実でよいと思います。ただ、ひとつ意図が読みかねるのが、そこで一度音楽を区切って、次のショットから別な曲に変えているのが何故だろうということでした。1分30秒の中であまり忙しく曲調を切り替えるのは効果的でないのではということと、曲を変えるにしてももっとその転換を自然なものにしないと、そこで一度流れが完全に途切れてしまうので勿体無いと思います。音楽のこと以外は、その後の流れも、見せる必要のある箇所を適切なスピードのカメラワークで見せるべき秒数見せていて、模範的と感じます。0:59?1:10のところで、縦横移動のショットの中で洋室?和室のバリエーションにワイプするというギミックに挑戦されていて、その姿勢自体はとても好ましいと思うのですが、短い秒数の中でワイプしていることで、どちらのバリエーションも印象に残らず、惜しむらくはあまりその挑戦が成功していないかなという印象です。1:17?のところで、前景の洋酒のボトルから後景の社交を楽しむ人々へのフォーカスシフトも、この場の情景を伝える手法としてとても有効だと感じました。とても「模範的」な作品だと思うのですが、今回のコンペで上位に入らなかった理由を考えてみますと、ベタな表現になってしまいますが、面白みに欠けてしまったのかも知れません…。難しいところです。ただ、プレゼンの実戦の現場では、こういうムービーは有効かつ適切だと思います。