CONDOMINIUM GER
小野塚直 大成建設株式会社
対象建築:コンドミニアム
モンゴルの伝統的住居ゲルは、季節や時間によって布の素材を変えたり、裾をまくり上げたりすることで、まるで服を脱ぎ着するように外部環境に応答します。
本提案は、モンゴルの厳しい気候と共存するため、ゲルの環境装置的性質を拡大解釈することで作られる、自由で柔軟な建築です。
建築の全体は、ゲルの要素ハガナ・トーノ・ウルフを現代建築に再構築した、①二つの塔―120の住戸と共用ラウンジ、②フレーム―二棟に跨る屋上庭園、③外皮―菱形格子のカーテンウォールの三要素で構成されています。
開閉可能な「外皮」は、気温や天候に合わせて外部との接し方を自由に調節できます。
中層のヴォイドは川に対して大きく開かれ、住民が安らげる開放的で静かな空間です。
「フレーム」の膜の下は食事を楽しんだり子供が遊んだり、様々な活動が至る所で展開する賑やかな空間です。
建築の様相が気候を反映して絶えず揺らぐ、新しいモンゴルの住居形式の提案です。
機種 Fujitsu CELSIUS J530
CPU Intel Xeon 3.60GHz
メモリ 16.0GB
GPU NVIDIA Quadro K2200
モデリングソフト Revit
モデル制作時間 14日
モデルデータサイズ 100MB
Lumion制作時間 7日
使用エフェクト
二点透視、霧、移動、フェードイン/アウト、被写界深度、
レンズフレア、手持ちカメラ、タイトル、色補正、太陽、
レイアの可視性、ムーン、空と雲、感光度、スカイライト。
動画レンダリング時間 8時間
静止画レンダリング時間 60秒
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講評
解説文を参照致しますと「ゲルの環境装置的性質を拡大解釈」というところからデザインを発想されているとのことですので、それを表現するのでしたら本当は、各機能に呼応するようなゲルの映像なり画像なりをインサートするのが効果的かも知れません。また、他の方々にも共通するマイナス点として、とにかくカメラが動きすぎで、どこを見せたいのかの焦点が、受け手として絞れないことになってしまっています。こと、本作品については「外皮」「ヴォイド」「フレームの膜」という、明確に見せたい点が整理されているはずですので、その3点をひとつひとつ、腰を据えたフィックスのショットで見せていくやり方の方が遥かに有効だと思います。冒頭のフィックスショットで外皮が開いていくのをしっかり見せているのは良いと思いますが、少し欲張って夜バージョンと両方見せようとしてしまったことで、じっくり見せる尺が足りていないように感じます。両バージョン見せることにさほどの意味がないので、昼バージョンだけでも良かったように思います。加えて、フィルムのようなフリッカーの効果などを使っていることでそこに意識が向いてしまうのも無駄ですので、ここは普通の映像の方が適切かと思います。パッと見かっこいいのでフィルム効果を使いたがる方が結構多いですが、ノスタルジーやレトロスタイリッシュなどの感情・印象を喚起したいので無い限り、避けるべきでしょう。私が本作品で一番いいショットだと感じるのは0:28からの、開いていく外皮の内側で読書する女性のフィックスショットです。ここは、この建築物の中で人がどんな時間を過ごすのかが感じられて良いと思います。凄く欲を言えばですが、ここがリラックス出来る空間だということを演出する意味で、この女性がもっとカジュアルな服装(ショートパンツ、サンダル、etc)をしていたり、テーブル上にあるのがもっと分かりやすく紅茶だったりスナックだったりするとベストかも知れません。他のショットはどれも、短すぎたり、カメラワークが忙しすぎたりしていて空間の良さが伝わらないのが勿体無いと思います。あとは、ムービーの終わり方というのも、どんな余韻が残るのかを決める重要なポイントです。音楽も映像もただブツッと終わってしまっているのが勿体無いので、せめてフェードアウトなりするだけで、鑑賞後の印象が変わってくると思います。