光や風、植物といった様々な動的空間要素の変化を許容する事で、その時その場所ごとに内外の距離感が変化する、豊かな空間体験の創出を目指した。揺れ動く周囲の空気感を常に感じられるコミュニティーホールの提案である。
自然な集まりを促す「風通し良い大らかな構え」、多様な人が交錯する「アクティビティの交差点」という、敷地や課題趣旨から得たイメージを「細かなスロープの重なりによる1つの大屋根」という形に落とし込んだ。木々の間を走るスロープは、周辺環境を織り込みながら屋根を形成し、心地よい求心性により人々を歓迎する。
また、「図書を湿気から守り、既存地形を保存するピロティ」、「植物が建築に寄り付く隙としての手すりやフレーム」等、自然と建築の境界を曖昧にする工夫がこの地に生まれるホールをより親しみ易いものにする。
キリロムに根付くこのコミュニティーホールが、豊かな周辺環境と共に、新たに美しい風景を描くことを願う。
講評
ラストカットの、らせん状の通路をなぞっての動きから全体像へと引いていくカメラワークは、この建築物の魅力を最大限に引き出していてとても素敵だと感じました。前半の通路に沿って疾走するカメラワークも良い感じだと思いますが、ちょっとカメラ移動のスピードが速すぎて何を見れば良いのか視線が泳いでしまうのと、カット尻でクイックパン&ホワイトアウトする際も急ぎすぎて落ち着かない感じがします。スピード感の統一という意味でも、ラストカットの速すぎず遅すぎずのスピードに合わせて全体のテンポを整えられると良いのではと思いました。