キリロムの原生林にあるヴィラ。既存樹木をよけながら、湿気対策で持ち上げられたボリュームはまるでカンボジアを象徴する蓮の花のような面もち。持ち上げられたボリュームは、「new nature elevated structure(大地を増殖させる構造)」により構成され、建物のあらゆる場所に植物の生育が可能となる。躯体内に充填された土は太陽光パネルで集水された雨水を地下へと浸透し貯水、その過程の中で建物内部の温熱環境を調整する。ヴィラ群からなる広大なランドスケープは、人間の豊かな居住空間を提供しながら、同時に多様な動物や生物の生息域となる。人間、動物、生物との新しい関わり合いにより、真のゼロエミッションが実現し、次世代へとつながる新しい原風景が生まれる。キリロンの原生林にあるヴィラ。ここは美しく、雄大で、そして心温まる場所。大地と建築、自然と人間をつなぐ全生命の住処。「地球ヴィラ」。
講評
ちゃんとオープニング?本編?クロージングの構成が出来ていて、ひとつの作品としてまとまっているのが良いと思います。種子のシーンから始まることで「始まる」感が高いのも素敵です。せっかくならラストも種子なり植物の一生に絡めたシーンで終わると1編の物語になって更に心を動かすものになったかも知れません。ディゾルブ等のトランジションの使い方も映像の文法に沿って意味のある使われ方をしていて、とても見やすいです。また、樹木(とそこにとまった昆虫)の後ろからスタートする横移動もとても有効です。大変惜しいのはテロップの使い方で、右下に小さい文字で読みづらい形で入っているのでそこにかなりの秒数、視線が行ってしまい、肝心の映像に目が行きません。思い切って真ん中に入れるなり、一度黒に落としてテロップだけを読ませる時間を作るなりして、読ませるところは読ませる、見せるところは見せるようにするとベターかと思います。