建築を自らの手足のように動かし、様々な環境に合わせて、空間を変化させることができるヴィラを設計しました。塀、壁、建具、など、建築のエレメントが多様に変化することで、内部と外部がひとつながりとなり、キリロムの気候に対応した風通しの良い軽やかな建築を目指します。
この建築の魅力を表現するために、カメラを動かすのではなく、モデルを動かすことで、空間が変化していく様子を捉えることを心掛けました。塀が開いたり、窓やフィンが回転したり、蔀戸が押し上げられたりと動き方のバラエティを豊富につくることで、多様な空間の可能性を感じてもらえればと思います。
講評
建築物自体のデザインと機能に自信を持たれて、それをしっかり見せられる落ち着いた演出を心がけられているのが好感を持てます。ムービーとしての全体のまとまり方がとても良いと思いますので、更に良くするとしたらのポイントを挙げてみたいと思います。まず、色味の彩度をかなり落としていらっしゃいますが、ここまで落とすと雰囲気が暗くなってしまうので、もう一声、空の青が残る程度に留められた方が良いかも知れません。Lumionでフィルタを掛けるだけだと微妙な調整が難しいので、出来るならPremiereなどを使って微調整されると良いと思います。また、静的なカット同士の繋ぎをテンポよくする技術として、例えば0:21のつなぎ目のようなところでは、前のカットと次のカットの動きが似ていますので、前のカットでひさしが上がりきる少し前でカットし、次のカットではひさしが少し上がっているところから始めると、動きの流れが止まらず見ていて気持ちのよいテンポが出来ると思います。それ以降のカットも同様です。その後、ずっとカット編集で繋いでいたのがフォーカスインアウトを使うようになりますが、これは流れを損ねて勿体無いと感じます。カット編集で最後まで通すか、トランジションを使うとしても5フレーム程度の短いディゾルブがいいかと思います。基本、前述のように各カットを動きの流れでカットしていけば、トランジションを使わずとも気持ちよく繋がるはずです(Cutting on Actionという編集技術です)あとは、ひとつのムービーとして完結した感じを出すために、もう少しオープニング・本編・クロージングという構成をはっきりさせるとベストかと思います。