ぱらぱらとした屋根からは柔らかな日が差し込み、気持ちの良い風が抜けていく。
屋根の下には地形に沿った高床式の床が人々の居場所を創る。
そこには古来の住まい方を思わせるような空間が観光に訪れた人、地域住民を待っている。
片流れ屋根と日本的な垂木によって室内には様々な方向性がつくられ、壁のない見晴らしの良い空間になり、そこでは人々の視線が交錯し、様々な活動を垣間見ることができる。
図書館は硝子に囲われ、この建物の中心的な場所である。大屋根によって直射日光を遮りながら本を保存し、二層吹き抜けの大開架書庫を作り出している。二階からは様々な方向
に流れていく屋根を見下ろし隙間からは一階の様子を窺うことができる。
カンボジア高原リゾート・キリロムに屋根たちに覆われた活気のある場所が生まれた。そしてこの中心的な場所から様々な体験をする旅が始まる。
講評
とにかくカメラをあちこち動かして何もかも見せたい、という気持ちが、逆に観客がどこを見れば良いかを不明瞭にして伝えたいテーマが伝わらないようにしている感じです。冒頭の、屋根たちの俯瞰に「Under the Roof」のテロップというスタートはしっかり意図が伝わって良いと思います。本来であればそこからしっかりカットを割って「このショットでは屋根から差し込む柔らかな日射し」「このショットでは吹き抜ける気持ち良い風」というように、せっかく立てたコンセプトを各ショットで記号化していく組み立てが必要です。建築物のデザインがとてもフォトジェニックなので、固定カメラやゆっくりめの単純な軌道上の移動で各パーツをしっかり見せる方が全然、観ていて気持ちいいと思います。また、0:59?の図書館インテリアのショットのように、広角レンズでカメラをパンすると、パースが崩れて見栄えが良くないので、特にこういう時こそFIXやゆっくりの横移動で撮影されるといいかと思います。