今回のコンペでは計画敷地に存在した、人-木- 森の関係に着目して設計を進めていきました。カンボジアにおける民家は木造であり、その住宅周辺にも木が立っていることが多い。つまり木は現地の人からすると昔から慣れ親しんだ存在であり、素材であるといえます。人-木- 森の関係とは、人と木の間にある親しみのある空間(小空間)と、その連続によってできる、莫大で全体像の掴みにくい森(大空間)の関係です。
ここでは木造の十字柱と湾曲したアーチ、挟み梁などによって作られる“Umbrella Flame(傘のような架構)”の連続によって空間を作っています。一つ一つは小空間である“Umbrella Flame”の連続によって大空間を作ることで、現状の敷地に見られる、人-木-森の関係を作っています。全体の空間構成は寺院をイメージした空間構成となっており、二つの内部空間をもつヴォリュームを柱廊や水庭、庭園などの外構によってつないでいます。
このように“Umbrella Flame”によって、人-木- 森の関係の再構築を行いました。
講評
音楽のチョイスと建築物のデザイン、雰囲気が幻惑するようなイメージを醸しているのは良い感じだと思いました。ただ、せっかくの雰囲気を、視線の落ち着かないカメラワークが損ねているのが勿体無いです。こういう幾何学模様によるトランス的な視覚効果を狙う際には、直線でも曲線でも一方向へのカメラ移動に留めておいた方がより効果的です。右を見て左を見て、下を見て上を見てというように視線がウロウロすると台無しになってしまいます。また、しばしばカメラが柱を通り抜けてしまっていて見る者に違和感を覚えさせますので、CGであっても物理的に通り抜けられない箇所にカメラを通すのは避ける方が良いかと思います。音楽のチョイスはとても良いと思いますが、短いフレーズを1:30に渡って使うために繰り返して使う今回のような場合、ちゃんと編集ソフトを使ってフレーズをテンポに乗せて切り替えると切れ目が分からず聞けるようになりますので、やってみて下さい。この音楽は6拍子ですので、少なくとも6の終わりで切り替えればぶつ切りにはなりません。